野球における最も優れたアウトの取り方とも言われる三振。アルファベット一文字「K」で表されますが、どうして三振はKで表すのでしょうか。
今回は三振の意味やKで表す理由について紹介します。
「三振」とは
三振とは、主に野球において打者が3回ストライクを宣告された打席の記録のことをいいます。ストライクを宣告される条件に、打者がバットを振り、その上でバットにボールが当たらなかった場合(空振り)がありますが、三回空振りしてしまった場合三振になる、というイメージで「三振」という用語が作られたのでしょう。
勿論、ストライクの球を見逃してしまった時など、ストライクになる条件は色々あるため、一度の打席で三回バットを振っていなくても三振になる場合はありますよ。英語では「Strike Out」と表します。
なぜ三振は「K」を表す?
野球において、しばしば三振をアルファベット一文字「K」で表す場合があります。なぜ三振をKで表すのでしょうか。実はこの理由は諸説あり、今もはっきりとはしていないようなんです。
「struck」の末尾「K」を取った説
有力な説の一つが「strike」の過去形「struck」の末尾、kを取ったという説です。strikeは「打つ」などの意味があり、野球用語のストライクはこの単語から来ています。「打つべきボール」「打て!」といった意味ですね。
でも、わざわざ末尾を取ったというのはしっくり来ませんよね。頭のsを取ればいいのに⋯⋯とも思うのですが、野球には他にも犠打(sacrifice)や盗塁(steal)など、Sから始まる単語が用いられており、それらの記録で既にSを使っていたため三振にはKが使用されたということなのだとか。
「Knockout」の「K」を取った説
他の用語と被ってしまうために三振にSを使えなかったという理由は他の説でも見られます。現在最も有力と言われているのは「Knockout」の頭文字、Kを取ったとする説のようですよ。Knockoutは「徹底的な打撃」などの意味を持つ単語で、ボクシングなどの格闘技で使われます。KOはKnockoutの略称なんです。三振というのは打者にとって最もやられた打ち取られ方とも言えますから、この説も納得できるかも。
一方で、現代野球では投手が打ち込まれてマウンドを降りることをノックアウトと表現することもあるので、「三振のKがKnockoutから来ている」というのも今となってはしっくりこないかもしれませんね。
「Killed」のKを取った説
他には「Kill」及びその過去形の「Killed」から来ているという説もあります。Killは「殺す」などの意味を持つ単語、ちょっと物騒ですね。ですがそもそも野球ではアウトを「死」と表現するなど、物騒なところは少々あります。「投手が打者を殺した」という意味で三振をKとして表現するようになったという説があるのですね。
一方で、このアウトと死を連想させる考え方は少々日本野球的な気もします。英語圏でこの考え方で三振=Kと根付くかは少々疑問ですね。これらの説以外には、元も子もありませんが「ただの偶然」という説もあるようです。
空振り三振はS.Oと表現する場合も
基本的に三振は全てKで表し、例えば一試合の登板で15個三振を取った場合15Kと表現します。一方で、スコアブックでは三振の中でも空振り三振と見逃し三振を区別して表現する場合があり、その場合見逃し三振をK、空振り三振をS.Oと表現しますよ。なお、振り逃げの場合はꓘと表すようです。
三振の種類を一挙紹介!
ここからは三振のいろいろな形を紹介します。三振といっても色々な三振のなりかたがあるんですよ。
空振り三振
まずは空振り三振。打者が2ストライクの時に空振った場合は空振り三振となります。最も分かりやすい三振の仕方と言えますね。なお、2ストライクの取られ方については関係がありません。一球目、二球目を見逃してストライクを取られ、三球目を空振った場合も空振り三振と記録されます。
見逃し三振
続いて紹介するのは見逃し三振です。打者が2ストライクの時に投じられた球を見逃し、審判がその球をストライクと判定した場合、見逃し三振となります。空振り三振と同様、2ストライク目までを空振りやファウルなどで取られた後3ストライク目を見逃しで取られた場合も見逃し三振です。
見逃し三振については、以下の動画も要チェックです!
出典:(パーソル パ・リーグTV公式)PacificLeagueTV
振り逃げ
「三振といっても色々な三振のなりかたがある」とは言いましたが、基本的に三振は見逃し三振と空振り三振の二つに一つ。ただ、そのどちらかに分類した上で、また別の何かが記録される場合もあるのです。その一つが振り逃げです。
3ストライク目を取られた際に、その球を捕手がノーバウンドで捕球できなければ、三振を取られた打者は一塁へ走る事ができます(一塁に走者がいない場合、及び2アウトの場合)。この時、捕手はこの打者を内野ゴロをアウトにする要領でアウトにする必要があり、アウトに出来なかった場合は振り逃げが成立します。
振り逃げも三振としてカウント
振り逃げが成功してアウトにならなかった場合も、記録上は三振になります。三振はアウトとは限らないのですね。基本、大きく落ちるフォークボールなどを打者が空振り、捕手が大きく逸らした場合などに振り逃げが成功しますが、プロ野球で振り逃げが成立することは稀です。
「振り逃げ」と言いつつ、見逃し三振でも振り逃げは成立します。見逃し三振の時点でボールはストライクゾーンに来ており、その球を捕手が逸らすということは滅多にないので、基本的に振り逃げは空振り三振ですけどね。
スリーバント失敗
ファウルを打ったらストライクカウントが一つ増えるものの、2ストライク時にファウルを打っても三振にはなりません。しかしバントのファウルの時は別。2ストライク時にバントを行い、ファウルになるとアウトになってしまいますが、これは記録上三振です。スリーバント失敗というやつですね。
記録上、バントのファウルは全てファウルではなくストライクなんです。ただ、スリーバント失敗の三振は空振り三振でも見逃し三振でも無いようです。
ファウルチップ
最後に紹介するのはファウルチップです。2ストライク時にバッターがバットを振り、ボールに掠ったもののそのまま捕手が直接捕球した場合はファウルチップ、空振り三振となります。ランナーから見てバットに当たったのか当たってないのか分かりづらいという理由などから、ファウルチップとキャッチャーフライなどは区別されるのですね。
バットが掠った球がそのまま直接捕手の元へ来ても、捕手が捕球に失敗して落としてしまったらストライクではなくファウルとなりますよ。また、ノーストライク、ワンストライク時のファウルチップは普通にストライクになるのでアウトにはなりません。
最後に
今回は三振の意味やKと表す理由について紹介しました。振り逃げは成功しても三振というルール上、「1イニング4奪三振」を記録したプロ野球選手も存在します。理論上は1イニングで無限に三振を取れるということになりますが、7三振目からは1点を失ってしまうことになりますよ。