野球には、試合の流れを左右するさまざまなルールがあります。中でも投手の動作に関わる「ボーク」というルールがあるのですが、詳しく知らないという方も多いでしょう。本記事では、野球におけるボークの意味や種類、ルールなどをわかりやすく解説していきます。
【野球】ボークとは？
野球におけるボークとは、英語の“balk”に由来し、「ごまかす」「騙す」という意味を持つ反則です。塁上に走者がいるとき、投手が不自然な動作で走者を惑わせたり、投球版を踏まずに投げるなどルールに反した行為をした場合に宣告されます。
ボークが認められると走者は次の塁へ進め、試合の流れに影響するため、投手はフォームや投球動作に細心の注意を払う必要があるのです。
種類やルールを一覧で紹介！
野球におけるボークとは何なのか、意味は分かりましたが実際には多くの種類が存在しています。ここでは、ボークの種類やルールを一覧でまとめました。
投球動作を途中で止める／中断する
投手がワインドアップやセットポジションで投球動作に入ったものの、投球せず途中で止まった場合はボークです。これは走者を惑わせる不正な行為とみなされ、審判は即座に反則を宣告します。
宣告が出ると、塁上の走者は次の塁へ進むことができ、試合の局面が変化する可能性もあるため、投手は動作の連続性に特に注意を払わなければなりません。
セットポジションで静止せず投球
セットポジションでは、投手は投球前に必ず両手を胸の前で合わせ、一度はっきりと静止しなければなりません。この静止が不十分、あるいは完全に省略された状態で投球するとボークが宣告されます。
特に一塁や三塁に走者がいる場合は、わずかな体の揺れでも惑わす意図があると判断されやすく、細かな動作管理が求められるでしょう。
投手板(プレート)を踏まずに投球
投手は投球する際、必ず投手板(プレート)に触れている必要があります。踏み忘れや半端な位置でも投球は不正な姿勢と判断され、ボークとなります。たとえ投球そのものが捕手に問題なく届いたとしても反則は取り消されません。
走者は進塁できるため、投手は踏み出す前に自身の足の位置を常に確認し、正しいフォームを保つことが求められます。
投球動作中に足や体の向きが不正
投球中に足の位置や体の向きがルールに沿わない場合もボークになります。投手は決められたステップや方向で投球する必要があり、わずかなズレでも意図的と判断されることがあります。
不正な体勢はすぐ審判に見抜かれ、走者が進塁するため、普段から姿勢の確認が欠かせません。
投球のふりをして投げない(偽投)
一塁や三塁への送球のふりだけをして実際に投げない行為は、走者を惑わせる反則としてボークに該当し、特に投手板に触れた状態での偽投は厳しく禁止され、細かな動作もルールで決まっています。
牽制の多い投手は誤解を招きやすく、技術的な習熟が求められるでしょう。
一塁または三塁への送球で足を正しく踏み出さない
牽制球の際、投手は送球方向へ真っすぐ足を踏み出す必要があります。踏み出しが斜めだったり不自然だったりするとボークとなり、特に一塁牽制は判断が厳しくなりがちです。反則が宣告されれば走者は次の塁へ進み、試合の流れが変わることもあります。
走者のいない塁への送球や送球のふり
走者がいない塁へ送球したり送球のふりをしたりする行為は、無意味な動作が攻撃側に誤解を与えるためボークとなります。審判が反則とみなすと走者は進塁でき、守備側に不利が生じるため、牽制の対象を正確に判断する冷静さが投手には求められるでしょう。
投手がボールを持たずに送球／投球板上で立つ
ボールを持たずに投球板へ立つ、または送球動作中にボールを落とす行為はボークです。球を持たない構えは攻撃側に誤った情報を与えるため禁止されており、意図に関係なく反則が適用されます。
走者が進塁するため、投手はボールの保持に注意が必要です。
打者の準備ができないのに投球(反則投球)
打者が完全に打席での準備を整える前に投げる投球は、反則投球としてボークになる場合があります。特に走者がいる状況では、打者だけでなく走者も行動判断を誤らせる可能性があるため厳しく取り締まられます。
審判が反則を宣告すると走者には進塁権が与えられ、試合の緊張が高まる場面にも繋がってしまうのです。
ワインドアップで不正な踏み出しやステップ
ワインドアップの動作中に踏み出し位置やステップがルールから外れるとボークとなります。大きなフォームでは姿勢が乱れやすく、走者を惑わせる動作と判断されればすぐ反則が宣告されるため、踏み出しの方向や幅が不安定な投手は特に注意が必要で、ボーク後は走者が次の塁へ進みます。
捕手の妨害で不正に投球を行った場合
捕手の動作が原因で投球が正常に行えず、投手の動きが不正に見える状況でもボークが適用されることがあります。牽制やサイン交換の過程で起こることが多く、捕手と投手双方の連携が要求される場面です。
反則が宣告されると走者は進塁し、守備側は意図せぬ不利を背負うため、バッテリーの緻密な調整が重要といえるでしょう。
投球中にボールを落とす／手から滑らせる
投球動作中にボールを落としたり、手から滑り落ちるように離してしまうとボークです。これは投球フォームが乱れ、意図しないタイミングでボールが離れることが走者に誤解を与えるためになります。
投球自体が有効に見えても、動作上反則として扱われ、走者は進塁できるため、投手には安定したボールの保持が求められるでしょう。
二塁や三塁への投球で不正なフェイクを行った場合
二塁や三塁に向けて、投げるふりだけをして実際には送球しない不正なフェイクを行った場合もボークです。走者を惑わせる意図が明確であるため、ルールで厳しく禁止されています。
特に牽制の多い投手は無意識の細かい動作も誤解されやすく、注意深くフォームを管理しなければなりません。反則が出れば走者は自動的に進塁します。
最後に
今回は、野球におけるボークの意味や種類、ルールについて紹介してきました。ボークは一見すると複雑ですが、投手の不正な動作を防ぎ、公平な試合運びを守る大切なルールです。仕組みを理解しておくことで観戦の楽しさも深まり、試合の駆け引きがより鮮やかに立ち上がるでしょう。
