近年は申告敬遠の導入により、プロのトップレベルでは敬遠暴投そのものがほとんど見られなくなり、過去の珍プレーとして語られることが増えています。この記事では「敬遠暴投とは?」という基本から、制度面の変化、さらに国内外で記憶に残る敬遠暴投や敬遠絡みの名シーンまで、野球初心者の方にも分かりやすく解説します。
敬遠と敬遠暴投の基本
敬遠(故意四球)とは、投手が強打者との勝負を避けるため、意図的にストライクゾーンから大きく外れたボールを投げて四球を与える戦術です。日本語では「故意四球」とも呼ばれ、ピンチの場面であえてランナーを増やす代わりに、次打者との勝負や併殺を狙う意図があります。
敬遠球は打者から遠く外す必要があるため、投手は通常のボール球とは違うコースと力加減で投げます。このときボールが抜けたり大きくそれたりすると、捕手が捕球できず後方へ転がる「暴投」になり、塁上の走者は進塁が許されます。この「敬遠のつもりの投球で起きた暴投」が敬遠暴投で、状況によっては決勝点やサヨナラ負けにつながる非常に痛いミスプレーです。
なぜ敬遠暴投が起きるのか
敬遠暴投は、一見すると投手が楽にボールを放るだけのように見えて、その実かなりの難しさをはらんでいます。理由としては、次のようなものがあります。
わざとストライクゾーンを外す難しさ
通常の投球とは違い、「打たれないほど遠く」「しかし捕手が捕れる程度」という微妙なコントロールが求められます。
メンタル面のプレッシャー
ランナーが得点圏にいる場面での敬遠は多く、失敗すれば一気に点が入るため、力みや緊張がミスにつながりやすくなります。
キャッチャーの構え位置
捕手は大きく外に構えるため、投手のボールが高く抜けたり、手前でワンバウンドすると捕りづらく、暴投になりやすい状況です。
敬遠暴投は昔のルール?申告敬遠で何が変わった?
近年、「敬遠暴投って今はもう見られないの?」と疑問に思うファンも増えています。背景には、MLBとNPBで導入された「申告敬遠(申告故意四球)」ルールがあります。
申告敬遠とは、監督が球審に対して「この打者を敬遠します」と合図するだけで、4球投げることなく打者に一塁が与えられる制度です。
MLB:2017年シーズンから導入
大リーグ機構と選手会が合意し、投球を伴わない申告敬遠が公式ルールとなりました。
NPB:2018年シーズンから導入
日本のプロ野球もMLBに続いて申告敬遠を採用し、監督の申告だけで故意四球が成立するようになりました。
これにより、プロのトップリーグでは「4球を実際に投げて行う敬遠」を選ばない限り、敬遠暴投というプレー自体が起こらなくなりました。つまり、申告敬遠を使う試合では「敬遠暴投はルール上ほぼ発生しない」という状況になっているため、「今はないルール?」と感じるファンもいるというわけです。nikkansports+1
一方で、高校野球や草野球など、カテゴリによっては従来どおり4球投げる敬遠を行うケースもあり、その場合は敬遠暴投が起こる可能性は残っています。
国内で語り継がれる敬遠暴投や敬遠シーン
日本のプロ野球やアマチュア野球では、敬遠暴投や敬遠を巡るプレーがいくつも語り継がれています。これから紹介するプレーはいずれも、敬遠という「安全策」のはずが裏目に出たり、予想外の結果を生んだ例として、今もファンの話題に上がり続けている名場面なのでチェックしてみてください。
小林繁投手のサヨナラ暴投
敬遠球が捕手の頭上を越える暴投となり、そのまま三塁走者が生還してサヨナラ負けとなったシーンは、敬遠暴投の代表例としてしばしば取り上げられます。
オリックス・牧野塁投手の画面外への敬遠暴投
千葉ロッテ対オリックス戦で、ランナー二塁の場面から敬遠策を取ったものの、投球が大きく外れて画面外へ消えるほどの敬遠暴投となり、走者を進塁させてしまったプレーが映像として残っています。このときは解説者の「あ!」という声と、ベンチの苦笑いが印象的で、敬遠暴投の象徴的なシーンとしてファンの間で知られています。
出典元:じょん / 旅するダイエッター
新庄剛志の「敬遠球打ち」サヨナラ安打
阪神タイガース時代の新庄剛志選手は、敬遠のために外角へ大きく外されたボールにあえてバットを出し、サヨナラ安打にしてしまう離れ業を見せました。これは厳密には敬遠暴投ではありませんが、「敬遠」という前提を崩したプレーとして非常に記憶に残る名場面です。
海外の敬遠暴投とMLBの名シーン
MLBでは、敬遠暴投や敬遠絡みのプレーが動画として多く残されており、「Crazy Intentional Walks」「Wild Intentional Walks」といったタイトルでまとめられています。申告敬遠導入後は、これらのような「投球を伴う敬遠シーン」は減っており、過去の名場面として振り返られることが多くなっています。
敬遠球が高く抜けて決勝点
敬遠で四球を与える場面で、大きく外したボールが捕手の頭上を越え、三塁走者がホームインしてしまうシーンは、ハイライト動画でも「Wild Intentional Walks(荒れた敬遠)」としてまとめられています。こうしたプレーは、守備側は「ただ歩かせたいだけ」の場面で失点してしまうため、スタジアム全体が一瞬静まり返るほどのショックを生みます。
出典元:MLBPlays17
満塁敬遠からの波乱
バリー・ボンズなど、歴史的な強打者に対しては満塁にもかかわらず敬遠(満塁四球)を選択するケースがあり、1点を献上してでも長打を防ぎにいく戦略が議論を呼びました。このような極端な敬遠策は、それ自体が大きな見どころとなり、野球ファンに強い印象を残しています。
出典元:Sporting Videos
敬遠暴投が生んだルールと戦術の変化
敬遠暴投や敬遠を巡る珍プレーは、単なる笑い話にとどまらず、ルールや戦術の変化にも影響を与えています。
試合時間短縮と安全性の向上
敬遠の4球分を省く申告敬遠は、試合時間の短縮と選手の負担軽減を狙った施策として導入されました。結果として、敬遠暴投のリスクも同時にほぼ排除され、ゲームの「事故的な決着」を減らす効果も生まれています。
戦術面での駆け引きの変化
申告敬遠が一般的になる前は、「敬遠のフリをして勝負する」「敬遠球を打ちにいく」といった駆け引きも見られました。新庄剛志の敬遠球打ちサヨナラ安打はその象徴で、打者側が「本当に敬遠するのか」を見極める余地がありました。申告敬遠では投球自体が行われないため、こうした駆け引きはほぼ消えています。
観客目線での賛否
申告敬遠は合理的なルール変更である一方、「敬遠暴投のようなハプニングや、新庄のような敬遠打ちが見られなくなった」として、惜しむ声もあります。特に、日本やアメリカの一部ファンの間では、「プレーの妙味やドラマが減った」という意見も語られています。
まとめ
敬遠暴投とは、敬遠(故意四球)の最中に起きる暴投で、ランナーを進塁させたり失点を招いてしまう、守備側にとって非常に痛いプレーです。MLBでは2017年、NPBでは2018年から申告敬遠が導入されたことで、「今はないルール?」と感じるほど、プロの現場では敬遠暴投がほとんど見られなくなりました。
それでも、小林繁投手のサヨナラ暴投や牧野塁投手の画面外へ飛んだ敬遠暴投、新庄剛志の敬遠球打ちサヨナラ安打、さらにはMLBの「Wild Intentional Walks」など、敬遠と敬遠暴投をめぐるシーンは今もファンの記憶に強く刻まれています。あなたは、敬遠暴投や敬遠を巡るプレーの中で、どのシーンが一番印象に残っていますか。










